動産売買先取特権について

Q. 当社はアクセサリー等の宝飾品を製作して卸業者Y社に販売し、Y社が
  その商品を小売業者Zに売却していますが、買主であるY社が売買代金を
  支払ってくれません。売買代金を効果的に回収するに方法はないでしょうか?

A. 動産売買先取特権を行使することが可能です。
アクセサリー等の商品(これは法律上は「動産」とされます)を売却したのに、債務者が売買代金を支払ってくれない場合に、連帯保証人をつけたり抵当権などの担保権を設定することができればそれにこしたことはありません。
 
しかし、債務者である買主が代金を支払えない状況にある場合には、もはや保証人をつけたり担保権を設定することは困難だったり無意味な場合も多く、また、担保権の設定自体が他の債権者を害する行為だとして他の債権者から詐害行為取消権(債権者取消権)を行使されたり、その後に債務者が破産した場合には、同様の理由で、破産管財人からこの担保権設定自体について否認権を行使されたりする場合もあります。 
 
そこで、動産を売却した売主が売買代金を回収するために活躍するのが、法定担保権である動産売買先取特権です。
動産売買先取特権とは、動産を売却した者が、その動産の代金と利息について、その動産から、他の債権者に優先して弁済を受けることができる法定担保物権です。
ふつうの債権・不動産の差押手続などは、債務者の破産手続開始によってその効力が消滅してしまうのに対して、動産売買先取特権は、破産手続において「別除権」として扱われるので、債務者である売主が破産しても、破産手続とは別個に行使できるのでその効力は強力です。
 
この担保権の実行方法として、その動産が買主である債務者のもとにあるか、すでに転売されているのかによって、法的手続が異なってきます。
 
 

(a)その動産が買主である債務者Yの手元にある場合

 
売主X       ←→        買主Y 
         (売買契約) 
                     ●●●●●(商品)
     
 
(売主Xより、当該商品について競売を申立てる)
 
 
売却した動産が、売ったときと同じ状態で買主の手元にある場合には、裁判所の執行官に対して、担保権の実行としての動産競売申立を行います。
そして、その商品を差押えて競売することによって、債権者は競売代金から配当を受けて、債権の回収にあてることになります。
 
 

(b)その動産が第三者Zに転売されてしまっている場合

 
        【①売買契約】            【②売買契約】
  売主X     ←→     卸売業者Y     ←→     小売業者Z
                 ①買主Y・②売主            ②買主
                                ⇒       ●●(商品)
                           (売買代金債権)   (代金未払)
     
(売主Xより、物上代位をして売買代金債権権を差し押さえる)
 
 
すでに商品が第三者Zに転売されてしまっている場合には、(a)の方法は使えません。
上記の図のように、債務者であるY(①の買主・②の売主)が、転売先の第三者Z(②の買主)から当該商品の売買代金を受領していない場合には、債務者Yは第三者Zに対して商品の売買代金債権を有していることになります。
 
そこで、債権者Xとしては、買主Yが転売先Zから未だ売買代金の弁済を受けていないときは、この売買代金債権を差押さえることによって、他の債権者に優先して弁済を受けることができます。このような動産売買先取特権の効力を物上代位といいます。
法的な手続としては、裁判所に対して、担保権の実行としての債権差押命令申立を行います。
 
(a)(b)いずれの方法による回収のケースでも、迅速かつ秘密裏に行う必要があるとともに、申立に際して証拠関係など専門的で面倒な事柄も要求されます。
具体的な申立手続の詳細や必要とされる証拠関係等につきましては、当事務所にご相談ください。
 
実際に、文房具等を製造販売していたX社が卸業者Y社に商品を売却したところ、Y社が代金未払のまま破産してしまい、商品自体も既に複数の第三者に転売されてしまっていたケースにおいて、そのうち売買代金をY社に支払っていなかった第三者Zらに対して、上記(b)の方法で、債務者YがZらに対して有する売買代金債権を差押さえて、代金債権の一部を回収することができました。
 
この事例では、第三者Zの売買代金の支払期日が数週間後と迫っており、商品自体が種類が極めて多く申立の審査に時間がかかると予想されたことから、申立審査が少しでもスムースに迅速に行われるように、事前に裁判所に何度も相談にいき、第三者Zらの協力を得て証拠資料も十分揃えることができました。
債権差押命令発令後に、破産管財人が高裁に、同命令に対する不服申立手続を行いましたが、高裁において全面的にP社の主張が認められました。

 

 

未収金にならないための予防方法

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